2025年04月03日令和7年度 入学式 学長式辞
今年もようやく春が訪れ、キャンパスも桜のつぼみがふくらんできました。そして、キャンパスの裏山には鶯の声がさえずりわたっています。そんな穏やかな今日、越前市市長 山田賢一様、越前市議会議長 大久保健一様をはじめ多数のご来賓の方々のご臨席を賜り、令和7年度の仁愛大学ならびに仁愛大学大学院の入学式が挙行できますことは、本学教職員一同の大きな歓びであります。人間学部心理学科73名、コミュニケーション学科62名、3年次編入生3名、人間生活学部 健康栄養学科55名、子ども教育学科51名、人間学研究科臨床心理専攻10名の入学を認定致します。まことにおめでとうございます。また、保護者の方々にも、心よりお慶び申し上げます。併せて、今後の本学の教育・研究・地域連携などの社会活動につきまして、一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
さて、本学は「仁愛」という大学名が示す通り、『仏説無量寿経』の「慈恵(じえ)博く施し、仁愛兼ねて済う」ということを建学の精神にしております。平易に言えば、「互いに『いのち』を尊び、共生社会の実現を目指し(仁愛)、世を照らす灯となって、それを実践する(兼済)。」ということです。兼済、つまり「兼て救う」とは、自他ともに救われるという意味です。私は、ほぼ毎月本学の学内随所に、建学の精神を平易に表現した標語を掲示しています。そこにかつてこんな言葉を書きました。教育は共育、育児は育自、敬愛すれば自他ともに育つのです。そして、その解説に「教えることは、教えられることです。育てることは育つことです。子供が一年生なら、親としても一年生です。互いに尊びあって私も、あなたも共に育っていくのです」。と書きました。教えることは、教えられることです。育てることは育つことです。人間教育においては、双方向の学びが同時になされるのです。それが、本学の教育についての理念です。どんな職業に就こうとも、教える場、学ぶ場はあります。すべての学生、教員に言えることですが、とりわけ、子ども教育学科は、本県では数少ない保育士養成機関で、本年度から福井県の支援による本学独自の手厚い奨学金制度がスタートしました。それだけに社会から期待されています。本学は、すべての学部、研究科において、単に職業的技能を学ぶだけでなく、その基本に人間としての在り方を、問い学ぶことを、目的としています。そして、そのような人を育むことが、本学の建学の理念です。
本学では、1年次に「仏教の人間観」という全学共通科目を学んでいただきます。建学の精神を具体的に学ぶ授業です。どんな職業に就こうとも、必要とされる高度な教養です。この出遇いが皆さんの人生を心豊かにしてくれるでしょう。
皆さんが、それぞれの分野の高度な専門的知識とスキルを修得するとともに、心の通った人間性を培うキャンパス、それが本学です。正門に「美(うるわ)しい世を拓(ひら)く灯となるために」と書かれています。「美しい世」とは、そのような「心の通った豊かな世」という意味です。
最後になりますが、本学におきましては、教育・研究はもちろん、「地域共創センター」を中心に、全学的に地域連携を推進する体制を取っております。これまでの先輩諸君の活動は、インターネットや新聞、テレビなどのメディアをとおして広く伝えられております。これらの活動をとおして、多様な人間関係を学び、また企画力、マネージメント能力を養うことができます。これらの成果によって本学の就職率は、非常に高いです。管理栄養士の合格率は今年も全国トップクラスでした。また、本学は地元・地域との関係が密接な大学です。地域のご支援をいただき、さまざまな連携事業を推進しております。福井県や越前市のご協力に感謝するとともに、諸君が本学で充実したキャンパスライフを送り、立派に成長されますことと、一層ご活躍されますことを念じまして式辞といたします。
令和7年4月3日
仁愛大学 学長 田代俊孝